(5)装置設置の実例と取付けの条件、加工と応用
装置設置の実例と取り付けの条件
この落ち葉防止装置を取り付けたら長期間、一切の雨樋掃除や装置の手入れが不要と言う理想の目標で開発したのでありますが、多種にわたる(落葉樹や針葉樹の)落ち葉の形状、樹木の大小高低と家との距離、降葉の量、雨樋の形状(半丸と角)と住宅メーカー個々の雨樋、及び止め金が上か下、雨樋と軒の間隙、周囲の建物と向きによる風当たりと日当たり、土砂の堆積量、等々の条件により一軒一軒全てに於いて雨樋の詰まりの状況が異なり同一と言うことはないのです。
これらの点について最も代表的な実例での研究をもとに出来るだけ詳しく解説をします。
まず、写真1は半丸樋、角樋の排水口上に設置した装置の一般的な取り付け方ですが、写真2は背景の雑木林から家屋A、B、C、各々の距離と周辺状況を表したもので、その雨樋の形状、土砂の量、止め金、大手メーカーの雨樋、により雨樋の詰まり具合は各々の条件により全て異なります。
写真2のCは最も落ち葉の被害があると同時に、前が未舗装の砂利道のため、土砂の被害もある家屋です、装置を取り付け4年になりますが(4月の撮影)最初の2年間は小枝と落ち葉と土が少々の良好状態でしたが、その2年後は装置の樋に接する足の部分が泥で完全に埋まり装置本体内の平面状の穴からだけの排水で排水能力は半減しております。
その原因は、この角樋の止め金にあるのです。
以前は角樋の下で受けていたのですが屋根の修理時に上で吊るものにした為に全部の止め金に小枝が引っ掛かり、そこで落ち葉と泥で雨水を堰きとめてしまい排水口まで流れず雨樋全体が土砂で埋まってしまったのです。
ゲリラ豪雨の様な激しい雨の時に、それぞれの土砂の一部が排水口に流れつき装置の一部を埋めてしまったのです。
この状態では装置を設置しても効果は期待できません。
一応、ここで装置を取り外し(写真5)排水口を大きくして(写真6)期待は出来ませんが付け替え、暫らく様子をみることにしました。
写真7・8は取り付け後です。
写真9の梯子の家がC、写真10・11の家で時々掃除をしていると言うことですが詰まって雑草が生えております。誰でも家屋の外観をスッキリと美しくしたいでしょうが、落ち葉詰まりに関しては角樋より半丸樋が風により一掃され易く遥かに優れた清掃効果があり、そして、半丸樋も角樋も止め金が見えないよう上で吊るしたら其処に引っ掛かりが出来て雨樋はやがて落ち葉と泥で全体が埋まってしまいます。
次に、写真2のBについて、この建物は、築十年以上になる住居ではなく倉庫で、シンプルな切妻の屋根で、一般の平屋よりかなり高い平屋です。
雨樋は100の半丸を設置しております。
CとAの中間に位置し飛来する落ち葉や土砂は少なく数年に一度の掃除が必要でした。
4年前に装置を取り付け全く詰まりはありません。
Cの場所の様な落ち葉や土砂が多く悪条件であっても充分に機能するものと思います。
泥や砂は底にかなり溜まると思いますが、落ち葉はいつもきれいに飛ばされております。
溜まった土砂も時々降る激しい雨によりきれいに流されております。
樋には溜まっていたと見られる泥の線があります。
これが最も条件に合った使い方であり、最大の効果を発揮しております。多くの住宅がこの条件に近い物でしたら良いのですが…
次に、写真2のAについてこの建物は大手メーカーの鉄骨陸屋根の住宅です。
雑木林からの距離はBよりも離れて、落ち葉や土砂の飛来する量は、かなり少ないです。
しかし、落ち葉や土砂の量が少なくても(写真14、15)屋根の鋼板の形状から落ち葉や土砂は風により飛ばされることは無く、降雨時は張り付いた落ち葉と共に土砂は鋼板でカバーされた雨樋の中に流れ込み、落ち葉は乾かず風で飛ばされないため僅かな落ち葉で排水口を塞いでしまいます(写真16)。
この家を建てて間もなく外壁から泥水が流れだし、天井もシミが出来張り替えましたが、晴れた日に排水口の上のカバーを外して見るとヘドロ状の泥が溢れていました。
この様な構造では落ち葉だけではなく水に溶けにくい紙や樹脂袋類の飛来で簡単に塞がれてしまいますので常にカバー外した状態で点検していなければなりません(写真17)。
まだ全てカバーが無ければ良いのですがこの場合、装置を取り付けてもあまり効果はありません。
お問合せの例:その1
お問合せの例:その2
次に紹介させて頂くのはこれも同じ住宅メーカーの同じ型式の建物です。その後、樋のカバーをなくした(改良したつもり?)ものです。
全く役に立たないドレーンが付いており、ご自分で色々と網をかぶせたりして苦労されていましたが幸いネジ式のため取外し、錘付の角トイクリーンを排水口の上に置くことで落ち葉詰まりが解消されました。これは大変な事になりますが、このカバーが無くなったことで樋の中の風当たりが大変良くなり角トイクリーンはより効果を発揮し落ち葉は大変良く飛散し、全く理想の雨樋になりました。
次に、これも問い合わせの多い、ある大手メーカーの雨樋です。
上記の様に、後でお客様が困ることなど全く考えない手抜きの不親切な施工の代表的な物です。
(写真18、19、20、21)集水器を無くして継ぎ手で双方の離した雨樋をつなぐ物で、排水口と異なりその大きな隙間には飛来する殆んど全ての物が入り忽ち雨樋(竪樋へ通じる丸い穴を塞ぐ)は詰まってしまいます。
この場合、装置は全く役に立ちません。
大変お困りで仕方なく装置を2個の一方の一部を縦に切り並べて、雨どいの両側面を樹脂板で塞ぐかまたは排水口を装置で隠せるまで縦長で大きくし、その他全ての隙間を樹脂板で塞ぎます。
雨風を凌ぐのに問題がある欠陥住家を天気の良い日に家族連れで外観と室内を見て回り購入される方が多いと思います。
雨樋が詰まり易いか、詰まり難いか、を気にする人などいません。だから住宅展示場大手のモデルハウスだって、この様な酷い物なのです。
売る方も、買う方も、詰まるのは当たり前と思っております。
だからといって上記のように詰りなど全く考えず、かえって詰まり易くされたようなモノを売られては困ります。
少しは買う人の身になって欲しい、周囲が竹や雑木林の住宅展示場へ大雨の時に行くと雨樋が落ち葉や鳥の巣で溢れているのを良く見かけます。
台風が来ると、被害者としてよく聞きます、雨樋の掃除中の屋根からの転落事故、雨樋の掃除は台風とは無関係です定期的に掃除をしているのです。
この数十倍、数百倍の人達が人知れずに転落事故にあっているのです。
装置の加工と応用
当装置は半丸100の雨樋に、そのまま設置できます。
その他の半丸樋には両端の櫛目状の部分の一部の加工により、角樋まで殆んど全ての雨樋に取り付けが可能です。
(写真22)は代表的な雨樋(左から半丸100、105、角樋)加工例です。
(写真23)(写真24)(写真25)それぞれの加工仕上がりの寸法です。
次に、取り外しについて、よくある質問の項でも触れましたが接着剤で取り付けた場合、当装置は捩れに強く雨樋は簡単に変形しますので簡単に外れます。(写真26)
また、当装置は殆んどの家屋に取り付けが出来ますが、ある大手住宅メーカーのものに雨樋と軒先の隙間が無く装置が入らない場合があり、(写真27、28)の様に必ず上部を鋸等で切断してください。
下の足の部分を全て切り取ってしまう方が居りますが、機能が殆んどなくなってしまいますので絶対に切らないで下さい。
また、二階からの竪樋が一階の樋の排水口へ流している場合、装置を真ん中で切断して一階の雨樋に写真のように取り付けてください。
当装置は両方向からの流れに対応するものですが一方からの流れには半分で充分です。
取り付けについて
次に、取り付けについて、今までは取り付けは全て接着剤ということで説明をしてきましたが、それは取り付けや取り外しが業者や素人でも最も簡単だからです。
しかし上記の様に雨樋の多少の変形により外れる心配があります。
ある期間お取り付け頂いた上、当装置の効果を充分にお認め頂きましたら、雨樋の排水口近くに千枚通し等で穴を開け錆止めした針金で装置を固定してください。
現在はただ置くだけの錘付のものを発売しております。ページ右上のご注文の項をご覧ください。
この説明文は「つまらない」開発当時のもので、その後お客様からのご質問や実験観察の研究結果と多少異なる部分がありますので「実例と解設」その経過報告をご覧下さい。
次へ |